神戸マラソン開催日まであと少し! しっかりとした体調管理を行いましょう!!

第7回神戸マラソンスタート&神戸大橋の様子


プロ・ランニングコーチ、駅伝・マラソン解説者の金哲彦さんにお話を聞きました!

大会直前のランナーの悩み

大会まであと少し…
仕事であまり練習できていない…
どんなトレーニングをすればいいんだろう…
食事はどうすればいいんだろう…

金 哲彦さんからのアドバイス

金 哲彦さん
©株式会社ラントゥービー

通常、フルマラソンに向けた走り込みは3か月前からスタートします。
ただし、今年は夏が暑かったのでトレーニングスタートが出遅れたランナーも多かったのではないでしょうか。

レース1か月前は、質、量ともに最も激しいトレーニングを行う時期ですが、それまでの準備がもしできていない場合は、故障に気をつけながらゆっくり長い時間走り続けるLSD(ロングスローディスタンス)トレーニングがおすすめです。
最低でも2時間、できれば3時間以上、時間的余裕が十分にある休みの日などに行ってください。途中の給水も忘れないようにしましょう。
また、自信がない初心者の方は長時間のウォーキングでもオーケーです。まだ日にちはありますので、長時間動き続けるトレーニングを今のうちにやっておきましょう。

マラソンに必要なのは心技体のバランス。特に体の部分はトレーニングだけでなく、休養や食事も大切な要素になります。
ハードなトレーニングを実施した後の数日は、良質のタンパク質を十分にとってしっかりとした筋肉を作っていきましょう。また、お肉や魚などのタンパク質を食べる時には必ず野菜もとるようにしましょう。

大会前日に「KOBE STYLE HEALTHY LOADING PARTY」を開催します。
フルマラソン前日にやっておきたい食事やレース当日のコツなどをトークショー形式でお伝えしますので、ふるってご参加ください。
http://kobe-marathon.net/2018/news/detail_20180918_001.html

まとめ 1か月前の練習と食事

~1か月前の練習~
  • 練習をしてきたランナーは激しいトレーニングを行おう!
  • 練習ができていないランナーは、ゆっくり長い距離を走ろう!
~ 食 事 ~
  • 良質なタンパク質と野菜を摂取しよう!

心肺停止事案への対応について

神戸マラソンでは、心肺停止事案に備え、フクダ電子兵庫販売株式会社、株式会社フィリップス・ジャパン等のご協力のもと約200台のAEDを配備しています。

第8回神戸マラソン緊急時対応訓練の様子

※神戸マラソンでは、緊急時に備え、初動期における大会関係者の対処能力向上および警察、消防等の関係機関との連携促進を図っています。訓練を通じて、様々な事案に対する救急体制、連絡系統を確認し、より一層の『安全・安心な大会』を目指しています。

心肺停止事案への備え

○固定AED隊
 コース上に500m~1km間隔でAEDを保持したボランティアスタッフが2人1組体制で56隊、フィニッシュエリアに3隊、計59隊を配備します。

○自転車AED隊
 コース上に2人1組体制で11組ボランティアスタッフが担当エリアを巡回します。

○その他
 各救護所、神戸大橋、関門収容バス等の車両にAEDを配備します。

○まちかど救急ステーション等
 コース上施設のご協力の下、約50か所のAEDを配備します。

  • 心肺停止にならないよう日ごろから気をつけることはあるのかなぁ…
  • 胸骨圧迫、AEDの効果ってあるのかなぁ…
    使い方もよくわからないなぁ…

現場で活躍される方の声

神戸マラソンメディカル協議会 会長 山根光量先生、フクダ電子兵庫販売株式会社 AED営業部
次長 金部英伸さんに話を聞いてきました!!

体調面の管理について


神戸マラソンメディカル協議会
会長 山根光量 先生

いよいよ第8回神戸マラソンのスタートが近づいて来ました。
出場されるランナーの皆さまの準備も整いつつあると思います。
安全に楽しく走っていただくために、これからは規則正しい生活で睡眠もしっかり取っていただき当日に臨んでください。
体調管理については、ご自身で無理のない範囲で走っていただくことが一番大事なことと思います。
また、これからの時期は食事管理も重要ですので、走る前の準備としての食事について、ワンポイントアドバイスをします。
前日はエネルギー源確保のため炭水化物をとってください。ご飯でも良いですが、神戸にはおいしいイタリアンのお店もあります。パスタ料理も良いかもしれません。
ただし、前日のアルコールの飲み過ぎや消化の悪い食材は避けた方が良いでしょう。また、前日から当日にかけての食事では生もの(刺身、生ガキなど)、油の多い料理、強い香辛料の効いた料理は避けてください。走っているあいだに腹痛、下痢に襲われて大変な事になるかもしれないので、ご注意ください。
マラソン当日朝は、食欲が無くても必ず食事をとってください。バナナなど、すぐにエネルギー源になるものでも良いでしょう。長い時間を走るランナーの方は、昼食を食べずに走ることにもなり、最後にエネルギー不足でバテてしまい、ゴールにたどり着くことが困難になる恐れもあります。
フィニッシュまでご自身のペースで走って神戸マラソンを最後まで満喫できるよう、水分補給を含め十分な食事管理をしてください。

AEDの作動ついて


フクダ電子兵庫販売株式会社
AED営業部 次長 金部英伸さん

まず、AED(自動体外式除細動器)とは突然の心停止(心臓突然死)から命を救う為、痙攣(けいれん)を起こした心臓に電気ショックを与える装置です。
操作は音声ガイダンスにより指示され電気ショックが必要かどうかもAEDが判断します。高度な専門知識を必要とせずに操作することができます。
AEDがショック可能な調律を検出し、必要に応じて電気ショックのエネルギーを充電します。
ショックが不要な場合は充電がされない為、除細動ショックは実行しません。
ですから、安心して勇気を持って落ち着いて音声ガイダンスの言う通りに操作してください。

倒れた方を見かけたり、目の前で人が倒れたり、応援を要請された場合は、すぐに意識・呼吸の有無の確認をし、AEDをできるだけ早期に使用するように心がけて下さい。
心肺蘇生とAEDの組み合わせで救命率は4倍にもなります。
AEDが「離れてください」と言うまで心肺蘇生を続けることも大切です。
使用に対して特に注意することは、電気ショックを実行する時は必ず周りの人に対して「離れて!」と声を掛けて誰も傷病者に触れていないことを確認の上、ショックボタンを押すことです。ショック実行後も心肺蘇生が必要な場合には速やかに行ってください。

最後に緊急時に出くわした場合は、「躊躇(ちゅうちょ)せず」・「AEDを怖がらず」・「最後まで諦めず」を心に刻み意識を持っていただければ一人でも多くの人の救命率を上げることができるのではないでしょうか!

~体調管理~
  • 無理のない範囲で調整
  • 前日は、アルコールの飲みすぎ・消化に悪い食べ物は避ける
  • 大会当日の朝は必ず食事をとる
~AEDの使用~
  • 意識・呼吸がない場合、早急に使用
    ※ショック不要の場合は除細動ショックは実行されない。
  • 電気ショック時は、周囲に「離れて!」と声かけの上、実行
  • 実行する際は、「躊躇(ちゅうちょ)せず」」「AEDを怖がらず」「最後まで諦めず」

これで大会本番・AEDが必要な緊急時への対応はバッチリです!

神戸マラソンにおけるAEDを使用した救命処置の流れ

ランナーの皆さんが、万一、心肺停止事案に遭遇した場合、必ず周囲の安全を確保し、大声で助けを求めてください!!


脱水症・水中毒について

神戸マラソンでは、株式会社明治のご協力によりVAAMを、富永貿易株式会社のご協力により水を提供します。

神戸マラソンにおける給水所の様子

水分補給ってどんな意味あるのかなぁ…
どれくらい摂取すればいいのかなぁ…

現場などで活躍される方の声

神戸マラソンメディカル協議会副会長 近藤誠宏先生に聞いてきました!!


神戸マラソンメディカル協議会
副会長  近藤誠宏 先生

2018年4月のロンドン・マラソンに参加したマラソン経験のある女性がペットボトルの水を飲みすぎてしまったことが原因で、帰宅後に水中毒になり昏睡状態に陥ったということがありました。
水中毒とは、運動前や運動中に大量の水を摂取することによって血液中の塩分(ナトリウム)濃度が低下し、「低ナトリウム血症」を起こし、身体機能が低下する症状を起こします。

近年、マラソンレース中に給水所で水を飲みすぎた市民ランナーが発症するケースがみられることから、水の摂取方法に注意喚起されるようになりました。症状としては、疲労感やめまい、吐き気、息切れ、手足のむくみ、けいれん等で、重症の場合は脳浮腫による頭痛や嘔吐(おうと)、意識障害、昏睡(こんすい)状態を起こし、死に至る場合もあります。

マラソン等激しい運動では筋肉の活動で体温が上昇します。その体温を一定に調節しようと、体は皮膚の血流量を増やし、汗をたくさん出し、その気化熱で体温を下げようと働きます。そして、その時に同時に塩分も失われます。
大量に汗をかいた場合、脱水症にならないように水分を補給することは重要なのですが、塩分と水分をバランスよく摂取することが重要です。
ナトリウムやカリウムなどの主要な電解質も含んでいる経口補水液やスポーツドリンクなどの摂取が重要です。人の利尿速度の毎分16mlを超える速度で水分を摂取する事によって水中毒は起こりやすくなると言われています。
レース中でも水分を補給する時は1か所で大量に摂取するようなことは避け、各ポイントでこまめに給水をとり続ける意識を持つことが大切です。
参考ですが、経口補水液は自宅でも作ることができます。水1リットル+塩3グラム(小さじ1/2杯)+砂糖40グラム(大さじ4と2分の1杯)+レモン、グレープフルーツ汁適量を入れ、オレンジジュースを入れるとカリウムも補充できます。

~水分補給~
  • 水分の補給は非常に大事だけれど、1か所で大量に摂取することは避けること
~経口補水液は自宅で作ることが可能~

水1リットル+塩3グラム(小さじ1/2杯)+砂糖40グラム(大さじ4と2分の1杯)+レモン、グレープフルーツ汁適量を入れ、オレンジジュースを入れる

これで水分補給はバッチリです!!


熱中症・低体温症への対応

過去の大会の最高気温は、平均は、約18℃と比較的高いですが、第7回大会では、12℃と低く、低体温症への対応も必要であり、ランナーにとっては、より一層、気温への対応が求められます。

第7回神戸マラソンにおける救護対応の様子

気温と救護件数

  最高気温(℃) 出走者数 救護件数
外科1 外科2 内科
1 第1回大会 19.5 22,958 514 90 119
2 第2回大会 15.5 19,103 29 204 91
3 第3回大会 18 20,411 37 272 150
4 第4回大会 19.5 19,380 49 340 116
5 第5回大会 20 19,660 47 463 294
6 第6回大会 21 19,570 7 263 245
7 第7回大会 12 19,709 22 213 183
種別 症状 処置
外科1 外傷(捻挫、打撲、爪割れ、骨折等) 洗浄、絆創膏、ガーゼ
外科2 関節(捻挫、滑液包炎等) アイシング、マッサージ、テーピング、ストレッチ
筋肉(筋肉痛、筋痙攣、肉離れ等)
内科 代謝(脱水症、低体温、熱中症等) 休養、保温、水分補給、冷却
循環器(低血圧、不整脈、心疾患)
呼吸器(過換気等)
消化器(胃炎、腸炎)

ランナーの悩み

過去大会の最高気温の平均は比較的高いが、どのような対策が必要だろう…
気温に応じた対策が必要だけど、どうすればいいのだろうか…

現場で活躍される方の声

ご自身もランナーである神戸マラソンメディカル協議会、日本医師ジョガーズ連盟 清成 則久先生に話を聞いてきました!


神戸マラソンメディカル協議会
メディカルランナー統括
日本医師ジョガーズ連盟
清成則久先生

 今年もいよいよ第8回神戸マラソンがやってきました。
 皆さん、準備はいかがでしょうか。
開催日は11月18日。市民ランナーにとっては暑過ぎず、寒過ぎず快適なシーズンです。トレーニングの成果はもちろん、シューズやウエアの選択も悩ましいところでしょう。
 多くのランナーにとってマラソンはやはり長丁場。制限時間が長く設定されている都市型マラソンでは特徴的な救護事例がいくつかあります。その一つとして、同じ大会で「熱中症」と「低体温症」という全く真逆の病態のランナーが発生します。
 スタート時の気温は低くても、午後から急な気温上昇があったり、やけに湿度が高かったり。逆に昼から急に寒気が流れ込み、冷たい風や雨にさらされることもあります。
 ある大会で私がメディカルランナーとして遭遇した「熱中症」ランナーは若い男性で、20km地点まで5分台/kmの比較的早いペースで走行していました。大量の汗をかき、意識はもうろうとして虚脱状態でした。一方、「低体温症」ランナーは細身の女性で、30km地点でエネルギー切れを起こし、ペースダウンとともに身体が冷え、ぶるぶる震えながら走行不能となっていました。
「熱中症」「低体温症」についての詳述は割愛しますが、典型的な図式をお示しします。

高強度の走行⇒体温上昇⇒脱水⇒「熱中症」
疲労・エネルギー切れ(低血糖)⇒ペースダウン⇒「低体温症

 このように、熱中症には脱水、低体温症には低血糖が引き金になることが多いと考えられます。気温、湿度、目標タイムによって、最適な給水、エネルギー補給が異なることはいうまでもありませんが、速いランナーは早めの給水、遅いランナーは早めのエネルギー補給が重要です。
 またウエアの選択も大切です。スタート時は涼しく、走行中に暑くなって衣類を脱ぎ捨てたものの、後半また寒くなって「捨てなきゃよかった」ということもあるかもしれません。(コースの真ん中での脱ぎ捨てはやめましょう!)特にゆっくりランナーは適宜着脱しやすいものを選んでください。ちなみに過去7回大会の当日最高気温は12℃~21℃と様々です。
 記録を目指す人も、ゆっくり大会を楽しむ人も自身の体調に耳を澄ませながら、無理をせず時には勇気をもってリタイアしてください。
 それでは、完走を目指して頑張ってください。フィニッシュゲートでお会いできることを楽しみにしています。

まとめ

なるほど!!
~熱中症・低体温症の図式~
  • 高強度の走行→体温上昇→脱水→「熱中症」
  • 疲労・エネルギー切れ(低血糖)→ペースダウン→「低体温症」
~ランナーへ~
  • 速いランナーは、早めの給水を行おう!
  • 遅いランナーは、早めのエネルギー補給を行おう!
    ※大会当日10.8km付近にバナナを用意します。

エネルギー補給について

神戸マラソンでは、10.8km地点(須磨一ノ谷プラザ付近)において、フレッシュ・デルモンテ・ジャパン(株)のご協力により48,000本のバナナを提供します。

第7回神戸マラソン10.8km 地点(須磨一ノ谷プラザ)の様子

ランナーの悩み

給食って食べたほうがいいのかなぁ…
バナナってどんな意味があるんだろう…

現場で活躍される方の声

ご自身もランナーである神戸マラソンメディカル協議会、日本医師ジョガーズ連盟 清成 則久先生に話を聞いてきました!


神戸マラソンメディカル協議会
メディカルランナー統括
日本医師ジョガーズ連盟
清成則久先生

1 低血糖に注意!
 競技中に突然、脱力感に襲われて失速し、競技不能となることがあります。
 その原因として意外に多いのが「低血糖」です。
低血糖というと糖尿病の治療中、薬の効き過ぎで起こることがありますが、健康な人でも運動中に顕著な低血糖をきたすことがあります。

2 糖質補給が効果的!
 脳は常に多量のブドウ糖を使い続けているので、血糖値が下がると身体に運動抑制をかけます。
 そのため動けなくなり、走る意欲も失います。
 いったん低血糖に陥ると回復に時間がかかるため、糖質補給は早い段階から定期的に摂ることが勧められます。

3 早い段階からバナナで糖質補給を!
 コース上、最初の糖質補給ができるエイドは10.8km地点(須磨一ノ谷プラザ)で、バナナが提供されます。
 バナナは高カーボ食で、すみやかに血糖を上昇させ、胃腸への負担も少ないことから、マラソンにとても適した食品です。
 ただ、吸収が速い分、血糖維持が長続きしません。各エイドで補給する以外に、使い慣れた糖質食を携行することをお勧めします。

まとめ

  1. 10.8km地点(須磨一ノ谷プラザ付近)でバナナの提供あり
  2. 低血糖に備え早い段階で摂取
  3. バナナは胃腸への負担が少ない

これで、皆さんもマラソンを完走目指してがんばりましょう!