暑い日が続きますが、トレーニングに励むランナーの皆さん、
食事をおろそかにしていませんか。
エネルギー補給だけでなく、脚力の強化のためにも大切です。
栄養素が不足すると、体脂肪も効率よく燃焼されません。
ランナーの基本的な食事について、トレーニング管理に詳しいアシックススポーツ工学研究所の田川武弘さん(46)に聞きました。
(鎌田倫子)
全身運動であるランニング。
例えば、体重60キロの人が10キロ走る間に、約600キロカロリーが消費される。
この数字は、ご飯茶わん2杯半ほど、ビールならば中瓶3本分にあたる。
「主なエネルギー源は糖質。
まず、ご飯やうどんなど炭水化物をしっかり食べること」
フルマラソンを走り抜く脚力はトレーニングだけでは養えない。
意識して十分なタンパク質を取り、筋肉を増やす必要がある。
「体重1キロ当たり1・2~1・5グラムのタンパク質が1日の摂取量の目安。体重60キロの人であれば、72グラムから90グラムくらい」
例えば若鶏もも(皮つき)は100グラム中16グラムがタンパク質。
毎食、主菜として肉や魚、大豆を取り入れるよう意識すれば、必要量に達するはずだ。
「糖やタンパク質の代謝には、ビタミンB群が不可欠」
糖質をエネルギーに変えるにはビタミンB1が必要。
ご飯やパンには、豚肉やウナギなどビタミンB1の多い食材のおかずを組み合わせよう。
大豆やカシューナッツ、ピスタチオなど豆類にも多く含まれる。
タンパク質から筋肉を作る際に必要なのはビタミンB6。
マグロやサケ、サンマなど身近な魚介類に豊富で、鶏肉やニンニクにも多く含まれる。
一方、脂質の燃焼を促進するのはビタミンB2。
ほとんどの食品に含まれ、レバーや卵、チーズに特に多い。
納豆菌によって合成されるので、大豆製品の中では唯一納豆にも含まれる。
ビタミンB群を含む食材。
糖やタンパク質、脂質の代謝を促す。
「体調管理として食物繊維やカルシウムや鉄などのミネラルも忘れずに。走り込みの量が増えたら、糖質とビタミンB群を多めに取るのがポイント」
外食では、丼物や定食はご飯の量が多く、うどんやパスタといった炭水化物に偏りがち。
ビタミンB群のサプリメントを上手に利用しよう。
「水溶性のビタミンなので必要以上は体から排出される。過剰摂取の心配はほとんどありません」
ハンマーで打たれた鉄が硬くなるように、トレーニングによってランナーの体も変わっていく。
以前はそう思っていた。
ヒトの細胞や組織は絶えず作りかえられ、骨や歯ですら分解と合成の繰り返しだ。
それを支えるのが毎日の食事。
トレーニングと同様、食生活も完走へのステップだ。
記者の以前の食生活はおおざっぱなカロリー計算だけ。
夜は手軽なパスタで済ませることが多く、朝はチョコレートとコーヒー。
カロリーは問題ないが、糖をエネルギーに変えるにはビタミンが不足していた。
燃料だけを積んでも体はうまく機能しない。
最近のメニューは、ご飯、納豆、キムチ、ワカメのみそ汁、干物、冷ややっこ、野菜炒めとカロリーも栄養素も満点だが、友人いわく「オヤジくさい」。
食卓に華がないのが唯一の欠点だ。
(神戸新聞2011年8月03日掲載)
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