朝晩はぐっと涼しくなり、走りやすくなってきました。
今月は長い距離の練習に移行していく時期。
トレーニングも大切ですが、ハーフマラソンに挑戦してはいかがですか。
これまでの練習の成果を確認するとともに、レースの雰囲気を味わえることで
モチベーション維持につながります。
アシックススポーツ工学研究所(神戸市西区)の田川武弘さん(46)に、ペース配分や調整ポイントなどを教わりました。
(鎌田倫子)
フルマラソンの大会の半年ほど前からトレーニングを始めた場合、理論上は練習開始から11~12週目(逆算すると大会の2カ月~2カ月半前)が、ハーフマラソン挑戦にはいいタイミングだ。
これまでのトレーニングでは、短めの距離を速く走る練習を続けてきているので、「エンジン」にあたる心肺機能が大きくなっており、スピードが出やすくなっている。
併せて週末にゆっくり長い距離も走ってきているので、20キロ程度の距離には耐えうる脚力は養われているはずだ。
「普段の練習だけでも記録が狙いやすい。ただ、最終調整でペースを確かめて」
神戸全日本女子ハーフマラソン大会で、スタートするハーフマラソンのランナー。
フルと違い“ガス欠”の心配が少ないため、少し速いペースで走ろう。
(昨年11月、神戸市中央区)
運動の継続には、筋肉や肝臓に蓄えられている糖(グリコーゲン)を燃焼してエネルギーを生み出している。
フルマラソンでは糖の枯渇による“ガス欠”が心配だが、ハーフでは起こりにくいという。
練習を積んでいれば、フルマラソンを走るペース(ATペース)よりも速いペースで走り切ることが可能だ。
ATペースよりも1キロあたり10~30秒速いペースが目安だ。
「10キロ地点を通過した時点でタイムや体の調子を確認しよう。短めの距離を速く走る練習の時と同じペースだったら速すぎで後半失速する恐れがある。逆に余力があればペースを上げて」
走り込み不足で当日を迎えてしまったら、ATペースで走ることを目指そう。
練習で本番の感覚をつかむため、大会の1週間前までに2回ほどペースを意識して20キロを走るといい。
給水休憩(数分)をはさんで10キロを2本。
本番に近いペースを一定に保つことがポイント。
「1本目と2本目での差は、1キロあたり10秒以内が望ましい。走りの感覚と体の反応を確かめるシミュレーションを」
4日前くらいに同様のペースで8キロほどを走り、2日前くらいに軽いジョグで仕上げを。
ジョグは最後の1キロでペースを上げて、筋肉に刺激を入れておこう。
「本番では、最後までがんばり度をコントロールすることを心掛けて走ろう」
北海道ニセコ町で行われるハーフマラソンに出場する。
ニセコといえば、羊蹄山のふもと、ウインタースポーツで知られるリゾート地。
涼しい環境で走りたくて7月にこの大会を申し込んだ後、コースはスキー場近くであることに気付いた。
当然アップダウンはきつい。
不安になりネットで昨年の大会出場者の感想を調べる。
「最後は自分を試されているような坂が待つ」「聞きしに勝る厳しいコース」「坂は14カ所。ほとんど平たんな道はない」…。
だ、大丈夫だろうか。
好タイムは望めそうにない。
練習でどれだけ走れる力がついたかを確かめる意味でも的確とはいえない。
おまけに最終調整も「ハーフのシミュレーション」とは意識せずに走ってしまい、正直ペース感覚をつかめていない。
深く考えずレースを申し込み、調整不足で臨むランナーには、どんな結末が待ち受けているのか。
次回は記者の初ハーフの一部始終を。
(神戸新聞2011年9月21日掲載)
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