神戸を感じて走ろう ~KOBE MARATHON トリップRUN~
優秀作品の発表
Trip Run
銀賞:2度目の神戸マラソンと六甲の自然の恵みに感謝しながら灘の酒蔵を歩く
山梨県 ペンネーム:「来年も神戸」 さん
2度目の神戸マラソン
神戸マラソンに出場するのは今回が2回目。
2013年、ランニングを始めて6か月で挑んだ10.6㎞のクォーターマラソン。
当時はフルマラソンを走れる自信はなく、42.195kmを走れるランナーの姿はただただ羨望の眼差しの対象で、神戸の街を走れるという満足感だけで一杯だった。
ただ、沿道の声援を受けながら走るうちに「いつか神戸のフルマラソンを走りたい」との思いが強くなり、須磨浦公園のゴール後にフルマラソンのゴール地点ポートアイランドへ向かった。
そこで目にしたのは、大歓声の中、次々とゴールしていくランナー達。
10.6kmを走った満足感や達成感は、フルマラソンを走れない自分への悔しさに変わり、
「神戸でフルマラソンを走る」という強い思いに変わったのを覚えている。
そして、3年前の忘れ物を取り戻そうと、抽選に突破して臨んだ第6回神戸マラソン。
レース前のセレモニーで咲かせた黄色いひまわりの大輪の感動とともにスタート。
南京町の銅鑼の音と大きな龍の応援に励まされながら順調な滑り出し。
リニューアルされた鉄人28号を眺めながら、鷹取付近では3年前と同じく温かい声援を受けた。
前回のゴール地点須磨浦公園を過ぎると、ここからは海を眺めながら、未知の世界との戦いが始まった。
遠くの明石大橋も緩やかなのぼり続き、なかなか近くまではたどり着けず、折り返し地点からは、下り坂もだんだんと足が重くなるのを感じた。
そうした中で、何よりも勇気づけてくれたのは沿道の声援。
途切れることのない声援というのはこういうことをいうのだろうと感じた。
そして給水所での温かいおもてなし。
35km過ぎからは完全に足が止まり、走る歩くを繰り返しながら、神戸の街を走ることを楽しんだ。
バイパスに入るところからポートアイランド入口までは、一番の難所だったが、何よりボランティアの声援が嬉しかった。
チャリティナンバーカードを見ながら「○○さん、感動をありがとう」と声をかけてくれた女性ボランティアさん。
こちらこそ、感動をありがとうございました。
ゴールまでの最後の直線は足取りも軽くなり、今日一番の走りができたのは大声援の後押しがあったからに他ならない。
マラソンは走る人だけでは成り立たず、そこに携わってくれるスタッフやボランティアのみなさん、そして何より応援してくれる人の声援がなくてはならない。
神戸マラソンが日本有数の都市マラソンとして、これからも続くことと来年もこの舞台を走れるよう更に練習を積んでいきたいと更に強く思った今回の神戸マラソンだった。
六甲の自然の恵みに感謝しながら灘の酒蔵を歩く
実は当日までどこを旅するのか迷っていた。
定番の北野か、元町もゆっくり歩いてみたい、昔栄えたという新開地という名前も気になる。
結局、何も決まらないままEXPO会場へ。
そして、観光ブースで見つけた1枚の地図「灘の酒蔵」。
灘という地名やそこに酒蔵があることは知っていたが、どこが灘でどんな酒蔵や街並みがあるのか、この目で見てみたいと思い、御影へと向かった。
しばらく、住宅地を南に向かうが、古くからの住宅地を思わせるものの、やはり、このあたりも震災で大きな被害が出たのか、
今風の新しい家屋が多いのが気になった。
国道の歩道橋を抜け、今度は東へ向かうと遠くに白い煙が立ち上る工場らしきものが見えてくる。
そして、気になるのが「におい」。
プーンと鼻を衝く、あの日本酒独特の香りがだんだんと濃くなっていくのが、明らかに分かる。
見えてきたのは日本を代表する酒造メーカーの「白鶴酒造」の建物。
他県では何度か酒蔵を見学したことはあったものの、ここ白鶴酒造の資料館の大きさには驚いた。
さらに東へ歩くと、これまた著名な酒造メーカー「菊正宗」が見えてくる。
このあたりは「魚崎郷」との表示がある。
「郷」という名前が付くことからも、このあたりは古くから酒蔵を中心に栄えた街であったことが推測される。
そして、木造の酒蔵の建物とそこから漂う日本酒の香りが、歴史を感じさせてくれるのが嬉しい。
ところでなぜ灘に酒蔵なのか、日本酒の元となる水や米はどこにあるのか。
そんな素朴な疑問に、川沿いから北に臨める六甲の山々が見えた時、ふと「六甲のおいしい水」というキーワードが思い浮かんだ。
「六甲のおいしい水」は、今から約30年前(と記憶する)に発売されたミネラルウォーターである。
今のミネラルウォーターブームの火付け役となった商品である。
おいしい水は神戸の街、六甲から始まったのである。
そして、この水は灘の酒蔵に古くから係わる「宮水」と呼ばれる地下水にも用いられていたのであった。
日本には港町として栄えてきた都市はいくつもあるが、これほど海と山が近く、海や山の恵みを堪能できるのは神戸だけではないか。
近年、日本酒ブームが続き、米どころの酒蔵で造られるいわゆる美味しい日本酒が人気である。
ここ灘の酒蔵は、日本を代表する酒造メーカーであり、誰もが知る銘柄ではあるが、ここから六甲の自然の恵みを生かした更なる逸品が生まれることを願って、灘を後にした。
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